クールビズが苦手な日本人

連日35℃近い酷暑が続く日本。総務省消防庁の報告によると、7月29~8月4日の1週間で全国で1万8347人が熱中症により救急搬送され、57人が死亡する事態に発展しています。このような災害級の気候の中、スーツを着こんで満員電車で毎日通勤しなくてはならないのは、多くの人にとって大きなストレスでしょう。

先日、メガバンクの一角を担う三井住友銀行が、7~8月限定で顧客と対面で取引を行わない一部の社員に対して職場でのドレスコードをなくし、Tシャツやジーンズでの勤務を認めると発表し、話題となりました。日々の通勤に対するモチベーションに影響しかねない職場でのドレスコードは、働き方改革を推進する中で語られることの多いトピックです。

 

日本におけるクールビズの歴史

環境対策の一環として2005年に小泉内閣により紹介され、現在では広く認知されるようになった「クールビズ」。冷房の設定温度や服装を適度に調整することで暑い時期に快適に過ごせる一連の取り組みを指す単語です。多くの人は、5月から9月の間は基本的にノージャケット・ノーネクタイのビジネスカジュアルで良いとする「夏場のカジュアルダウン」として認識しているのではないでしょうか。

クールビズが紹介されてから10年以上が経ち、2017年に日本気象協会によって行われた調査では、クールビズの認知度は98%と非常に高い結果となりました。その一方で、実際にクールビズを実施したことがある企業の割合は60%程度にとどまっている現状があります。また、クールビズを実施している企業であっても、取引先と面会する際にはネクタイとジャケットが必須という場合も多く、実際に日々快適に過ごせている人の数は60%に満たないでしょう。

 

目立たないことを良しとする

また興味深いことには、クールビズが嫌だ、という従業員の立場からの声をよく聞くことです。大きな理由としては、「どの程度カジュアルダウンしてよいかわからない」というものであり、特にノージャケット・ノーネクタイとある程度相場が決まっている男性に対して、女性はわかりやすい基準がないため線引きが難しいようです。

クールビズ時の服装の注意点について調べてみても、日本の場合は「目立ちすぎないように」「周りから浮かないように」といったものを多く見かけます。TPOをわきまえ、清潔感がありプロフェッショナルに見えることを重視する他国のビジネスにおけるドレスコードに比べて、日本は「画一的であること」「周りと同じであること」を重視する傾向があり、まさに、「出る杭は打たれる」のマインドセットだと言えます。

 

「周りと同じ」は就職活動において特に顕著

Huxleyを展開するSThreeは先日、CFNが主催する「留学経験者のためのキャリアフェア」に参加し、就職活動中の多くの方々と話すことのできる非常に良い機会となりました。しかし、30℃を超える気温の中、ほとんど全員が真黒なスーツと真っ白なシャツ、そして男性はネクタイと、いわゆる「リクルートスーツ」姿という光景を目の当たりにし、「ビジネス改革」「働き方改革」「デジタルトランスフォーメーション」など、各分野で改革を進めようとする中で、就職活動生のドレスコードにおいては画一化が進み、革新という観点では後退している雰囲気すら感じられました。

このようにほぼ全員が真黒なリクルートスーツを着込んでいる一方で、HR総研による調査結果では、企業の36%が就職活動生にもクールビズを推奨していると回答しています。この違いはなぜ生まれるのでしょうか。

 

企業や組織ではなく、人々に刷り込まれたマインドセット

この原因を考える際、多くの場合は政府や企業、組織などによるトップダウン式の取り組みが話題となりますが、実際に注目すべきは、前述のように「カジュアルダウンと言われても何を着てよいかわからず困る」という人々の側です。

人々がそのように感じる背景について考える際、日本の中等・高等教育における制服制度は大きな要因となるでしょう。実際、日本全国に約4900校ある高等学校中で私服通学が認められている学校の割合は1%にも満たず、ほとんど全ての学校で制服着用が義務付けられていると言えます。このような環境や価値観の元で育った結果、「人と違うことをする」ことに対する抵抗が生まれ、いくら会社がクールビズを推奨しても、結果的に「確実に失敗しない」、つまりカジュアルダウンをしない服装に落ち着く人が多いのもうなずます。

 

革新と多様性を受け入れる社会の実現

先日「これからの働きがいとは?」の記事でも触れたように、デジタルトランスメーションが進み、世界の在り方が大きく変わろうとしている今、既存のビジネスモデルを維持するだけでは今後のビジネスの発展は難しいでしょう。そのような中で求められるのは、革新的な、つまり他の人や企業とは違う新たな発想です。

革新的な思考に革新的な服装が求めるわけでは決してなく、無駄なことに時間を割かないために毎日同じ服装をしていた故スティーブ・ジョブス氏が良い例でしょう。しかし、彼は決して何を着てよいかわからないからあの服を着ていたわけではありません。周りと同じであることが楽だから、という理由で自分が着る服を選ぶのは、一種の思考停止とも言えるのではないでしょうか。

服装は人となりを表す大きな要素の一つであり、画一的で制服のような服装以外のドレスコードを認めることは、多様性を認めるうえでの大きな一歩となり得ます。先日、女性が職場でハイヒールを履かなくてはならないことの苦痛を訴えた「#Kutoo運動」が話題となりました。時間はかかるかもしれませんが、企業、そして個人ともに認識を変えていき、責任を伴う自由を手にすることで、多くの人が自分らしさを職場でも表現していけるような社会の実現が待たれます。

 

Huxleyにご相談ください

キャリアや職場に何を求めるかは人それぞれであり、職場におけるドレスコードが仕事を決める際の要素となり得るという人もいらっしゃるでしょう。弊社は高いスキルを持つ候補者の方々と、ビジネスの成長に必要な人材を結びつけ、双方にとって最適なマッチを見つけること使命としており、スキルや経験はもちろんのこと、企業文化やオフィスの雰囲気という観点からもぴったりと合った企業および候補者を紹介することに力を注いでいます。多様性と個性を重視する環境でのキャリアにご興味がおありでしたら、以下のフォームから私たちまでお問い合わせください。

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